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  【一般定期借地権のケーススタディ】   2003.4

※借家住人からの建物購入希望について※

定期借地権は、新築の分譲住宅ではかなり知られるようになりましたが、中古住宅でも色々利用できます。

相談内容:

自宅と同一敷地内にある借家の(家主とは親戚関係にある)賃借人より、建物を買い受けたい旨の申し入れがありました。
元々借家のリフォームをしてほしいとの要望はあったのだが、築35年とかなり老朽化していて、家賃も6万円と安いため家主としてはそのことを躊躇していた。
その為、賃借人より建物を買い取ったうえ自費でリフォームし、引き続き住みたいとの申し入れがあった。
尚、土地は借地を希望している。


対策について:

家主としても基本的に要望を受け入れる
気持ちであるので、その方向で進める場
合の手順を考えてみます。

A 大まかな今後のスケジュール

B 建物所有権を譲渡(売買)

C 土地(底地)の借地権契約について

C-1 借地権契約の種類

C-2 地代と保証金又は権利金について

C-3 契約と登記

D 費用について

定期借地権  Q&A

A 大まかな今後のスケジュール

※現借家人に建物譲渡する⇔※土地について借地権契約を結ぶ⇔※建物についての改築の通知書と承諾書  

   この作業をほぼ同時に行う!■

B 建物所有権を譲渡(売買)

建物は築後35年経過しており、固定資産税評価額も約70万円と安価である。

今回は下記の算出方法を試みて価格の仮目安とし、当事者が納得のいく売買価格を協議して決定します。

固定資産税評価相当額+諸費用相当額(測量費+その他の諸費用)=100120万円程

C 土地(底地)の借地権契約について

C-1 借地権契約の種類

従来は普通借地権だけでありましたが、平成4年8月の新借地借家法の施行により、借主保護主体の旧借地権とは違い、地主にとっても負担の少ない制度が加わることになりました。建物を所有する目的で土地賃貸借または地上権の設定の場合、借地借家法の適用があります。 普通借地権の場合、存続期間の約定のない場合は30年、約定(合意)のある場合30年より長く期間を定めることが出来る。問題は、存続期間が終了し、借地権者が引き続き契約を希望したときは、従前の条件で更新できる点であります。
(期間は
20年、その後の更新は10年ごとになるが、当事者がそれ以上の期間で合意すればその期間でOK
返してもらうには、更新時に@土地の使用を必要とする事情を伝えるA立退料の支払いを申し出るなどで、借地権契約を解消できるとなってはいます。
しかし、短期間で円満に契約の解除が行えるかどうかは甚だ不透明であります。
そのことが地主にとって最も気になる“一度貸してしまうと戻ってこない”という問題なのです。
それに存続期間が満了し更新しないときは、借地人は地主に対して建物を時価で買い取ることが請求できますので、金銭的な問題もあると思われます。

その点を考慮し、更新を排除し、地主と借地人双方にとって精神的負担の少ない『定期借地権』をお考えになってはどうかと思うのであります。

定期借地権の特徴
   契約更新は認められない
   建物築造による契約期間の延長は認められい

   借主…土地費用の負担を少なくして、自宅が取得できる
   貸主…一定期間で必ず返還される、また再契約も可能

尚、定期借地権には下記3種類がありますが、ここでは一般定期借地権が検討に値するものとして進めます。

一般定期借地権

建物譲渡特約付借地権

事業用借地権

設定期間50年以上で期間満了後更地返還

設定期間30年以上で地主が建物買取り、借地権消滅

居住以外の建物で10年以上20年以下で設定、更地返還


C-2 地代と保証金又は権利金について          それぞれ法的な決まりはありません

「保証金→(無利息で)返還する」「権利金→返還不要」であります。
保証金は借主にとって、途中解約でも戻って来るので都合がよいでしょう。
金額自体は保証金より権利金の方が、心持ち低いかもしれません。
金額については、地代との兼ね合いもありますが、土地価格の20〜30%程度かと思います。
(極端な話0円でもよい…)

{ご説明:保証金は預り金で、権利金は不動産所得としての扱いになります}

25坪×60万円(注1)×26.7%=400万円…権利金?

地代については固定資産税・都市計画税の保有経費分と、地主の純収入を加えて決定したほうがよいでしょう。
保有経費分として固定資産税の見直し年(3年ごと)に改定し、同時期に純収入も物価変動させる手もありますが、今回の場合はご親戚ということもありますので、固定資産税の見直しだけを契約書に明記されてもいいような気もしますが、長期の契約ですので将来のことはわかりません。
ここは最低限でも物価変動について協議することを記述すべきでしょう。

(注1)当該地の価格について

平成14年の路線価価格・・・・18万円/u…59.5万円/

平成14年近隣の公示価格・基準地価各・・83〜5万円程

(不動産屋的)値踏み価格・・・60万円/

くどいようですが、不動産の取引価格は当事者の合意にて決定されるのもでありますので、一方的に決定できるものではありません。

ここでは一応【坪60万円】を提示しておきたいと思います。

地代は改定できるものですが、当初の金額はどのように決定すればよいのか。
様々な料率が考えられますが、土地価格の1.52.5%位で考えてみることが多いようです。
また、保証金や権利金の運用益と地代との合計で考えてみることも可能です。

今回のケースでは現在の賃貸条件(6万円/月)も考慮しつつ、25坪×60万円1500万円の2%を12ヶ月で割った数字の25000/に租税公課額(参考価格として平成14年度の当該地205.06uの固定資産税・都市計画税の合計金額94876円の内、25坪(82.64u)を按分した金額を算出すると年額38235(月額3186円)となります)を加えた金額を当初の地代として考えました。
(この場合では、25000円+3186円=28186/となる)

支払い方法も当事者で決定するのですが、借地権者は12ヶ月前に申し出れば契約の途中解約が出来ます(地主は途中解約出来ないので、年払いしてもらうこともよいかもしれません。

C-3 契約と登記

一般定期借地権は公正証書による契約にする必要を義務づけてはいませんが(書面での契約は最低限必要です)、将来のトラブルを避ける為にも多少の手数料を惜しまないことをお薦めします。

登記についても公正証書と同じく必須ではありませんが、50年間の契約では恐らく当事者は代替りしているでしょうし、公正証書の保存期間は20年間ですので、登記しておくことも考えましょう。

D 費用について

土地の測量費

30〜40万円程度…測量士にて別途見積が必要

(建物売買金額に含めて借地権者に負担してもらい、土地所有者の責任で実施します)

建物売買契約に伴う費用

契約書の印紙代(建物100万円として印紙1000円、500

円以下2000円)

定期借地権契約に伴う費用

契約書の印紙代{権利金のある場合はその金額に応じた額400万円として1000円(譲渡所得税別途あり)/権利金の無い場合は200円}

賃借権設定登記

土地固定資産税評価額×0.5%(7万円?程度)

公正証書作成費用と手数料

2〜3万円程度と思います

権利金受領の場合

土地評価の1/2以下の場合、総合課税されます

保証金受領の場合

高額な場合以外は、非課税です(単なる預り金)

コンサルティング料

今回の業務推進料+各契約書作成等含む 25万円

□正確な金額については個々に確認するものとして、ここでは参考数値としてお考え下さい

定期借地権  Q&A

Q  更地返還しなかったら…

A 保証金は返還する性格を有するので、更地返還を担保することができます。 しかし、権利金は返還しないものとして扱っていますので、そのことを担保しようとするなら賃借人に積立してもらうことなども考慮し、将来のトラブルを回避することも有効です。
契約満了したのに立ち退かない時は、不法占拠で強制執行できる。
借家にしていても即、立ち退きを請求できます。

Q  借地人が建物を譲渡・転貸・増改築…

A 

定期借地権の譲渡転貸

承諾が必要

建替え・増改築

通知する

建物の賃貸

(通知する)

承諾料を徴収することも可能ですが…
建替え・改築・火事で滅失の後も、当初の契約期間通りで終了です。

Q  地代の支払いが滞ったら…

A 契約解除できる。未払い地代は預かり保証金から差し引く。(但し、借地権者からはそのことを主張できない)権利金のときは、法的に解決?する。

Q  借地人に相続が起こったら…

A 契約期間内に相続が起こったら、その権利を引き継ぎます。
 また、底地の所有者は物納も可能です。

Q  保証金と権利金はどっちがいいのか?

A 地主サイドにとって、どっちがいいのかは難しいところですが、権利金の方が扱いやすいと思います。

保証金(預り金)を受領して、後に地主が第三者に土地を売った場合は、賃借人は保証金の返還を新地主に請求できます。
しかし、賃借人が地主の承諾を得て賃借権を売った場合は、新賃借人は地主に保証金の返還をすることが出来ないとの判例があったと聞いています。
その原因は地価の下落にあり、権利の価格が以前より低下していることにあります。
一般には馴染みは無いかもしれませんが、極端な例としてある店舗の保証金が5000万円であったものが、現在十分の一の500万であるとするならば、旧賃借人は新賃借人に対して賃借権は売却しても保証金の返還請求債権を譲渡しない取引形態をとります。
この場合家主は、旧賃借人に5000万円を返還し、新賃借人から500万円を受け取ります。
最近の賃貸住宅における敷金返還のトラブルなども預かった金銭のやり取りにまつわる出来事です。

今回の場合は前述のケースには当てはまらないと考えますが…権利金は単純だと言いたかったのです。

権利金は、地主の不動産所得として扱いますからサッパリしたものです
また、賃借人が保証金の保全を求める時に土地に抵当権を設定するケースもありますが、権利金では領収 で終了です。

参考ホームページ:http://www.teishaku.com/  定借協議会

 南森町不動産/ブログ版   http://minamimorimachi.net 


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