こんな話あんな話


レストランという場所も、むかしはたまに行く場所だったが、今はみんなしょっちゅう行っているから、出されたものが美味であることにいちいちびっくりまどしてられないが、数年前父とパリで、とあるレストランに昼食に入った折、のどの放射線治療のせいで声帯がかたくなっている父が料理にむせたことがあった。
そうしたら間髪を入れず給仕が、空の皿とナプキンを差し出したのには驚いた。

考えてみれば当たり前なことかもしれないし、いいレストランではそういう躾がされていておかしくないと思ったが、皿とナプキンを手から手へリレーした給仕たちの自然な態度が印象に残った。

その時なにを食べたかは憶えていないけれど、それはそのレストランの不名誉ではないと思う。

『ひとり暮らし』 谷川 俊太郎 著

※仕事ってどんなものでも、こういう風にありたいですね!


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